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2016年4月28日木曜日

カレンダーが運動靴を履いたように、ウサイン・ボルトが100メートルを走るように日々は猛スピードで走り去り、気が付くと今年もゴールデンウィークに突入です。

400字のリングは五月十日まで休筆します。
熊本では多くの方々が厳しい生活をしています。
休日をどう過ごすか迷っています。

楽しんでいいのか、笑ってもいいのか、映画など観に行っていいのか。
しばし海岸などに行って考えてみたいと思っています。
みなさん一日でも多く休んでいいゴールデンウィークを過ごして下さい。



2016年4月27日水曜日

「ホセさん」



池波正太郎といえば「鬼平犯科帳」だ。
小説、劇画、ドラマでこれほど大ヒットした時代劇シリーズはない。

主人公長谷川平蔵を現在は人間国宝中村吉右衛門が演じている。
名人芸は初代平蔵を演じた父、松本白鸚に重なる。
丹波哲郎も演じていたがやはり、白鸚か吉右衛門である。

ずっとむかしから池波正太郎ファン、鬼平ファンなので殆ど見てきた。
はじめの頃は三ツ矢歌子さんのご主人であった小野田幹雄さんが監督をしていた。
美術はやはり名人西岡善信さんであった。最近は特番で二時間やる。

そのテーマ曲がギターである。
このギターのテーマ曲のイントロにシビレていたのだがフルで聴いたことはない。
昨夜、クロード・チアリより、アントニオ古賀より、木村好夫より上手いのではと思うフラメンコギタリストに鬼平の主題曲をフルで弾いてもらった(といっても相手がまずはと言って弾きはじめた)。
仕事を頂いている社長さんが連れて行ってくれたのだ。

銀座元日航ホテル側、コリドー街の側、中華の名店維新號の側であった。
階段を上がって二階、入り口に古いゴルフクラブが沢山束になっている。
店内はほの暗く狭い。
ギターが三本壁に掛かっている、カウンターがあるが椅子にいろんな物が置いてあって機能していない、電子オルガンが幅を効かせている。
入って左に六人位座れるボックス、奥にやはり同じようなボックス。

夜八時過ぎお客さんは一人もいない。
いつもは混んでいるのだが熊本で地震があってからガクンと客の入りが悪くなったとか、ギタリストはゴルフ狂であった。ハンデ5というからセミプロだ。
いきなり店内にパターマットを敷いてサンドウェッジレッスンを始めた。
ギタリストは釣キチでもあった。
マグロ談義、魚談義に話は変わった。

店の名は“サンホセ”ギタリストの名は「ホセ桑田」本名が保勢さんであった。
さあ〜それではギターをとなった。で、始まったのが鬼平犯科帳の主題曲であった。
超絶的なテクニックであった。
今まで聴いた日本人ギタリストの中で一等賞ではと思った。

ホセさんこと保勢さんはまずは「夜霧のしのび逢い」西田佐知子さんの大ヒット曲「コーヒールンバ」の原曲、次に名作映画「禁じられた遊び」の主題曲を弾いてくれた。
そしてぜひ「ラ・マラゲーニャ」を言ったら、それを弾きそして唄ってくれた。
ホセさんこと保勢さんは最高のギタリストであり歌い手であった。

三十分ほどいたのだが、水割り1杯を飲み忘れたほど久々ギターに聴き惚れまくった。
鬼平犯科帳の主題曲はとても長い曲であった。
池波正太郎のファンならばきっと涙をながすだろう。

あるヤキトリ店に何年ぶりかで行ったのだがむかしに比べてずい分と味が落ちていた。
茅ヶ崎の「鳥仁」が横綱だとしたら十両位であった。何しろどのヤキトリも肉が固かった。ヤキトリ大外れ、フラメンコギター大当たりであった。


2016年4月26日火曜日

「天才と狂人とデミグラスハンバーグ」


人殺しをした男がその国の紙幣になったのはこの画家しかいないはずだ。
私は最も愛するのだ。

その名はミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(15711610年)何しろ人生そのものが凄い。天才と狂人は紙一重というが、その一重がなく天才と狂人は完全に合体している。ルネサンスを超えた男と言われローマ人を熱狂させた。

カラヴァッジョ以前の絵画といえば光が全面に回り美しさを強調していた。
まばゆい光ばかりで影がないのだ。美術という位だから美の術であった。
電気がなく灯りがとぼしい時代に四方八方に光りがあるのだ。

カラヴァッジョは違った。リアリズムの極みを描いた。
特に一灯のライティングのような光と闇の聖書の世界は圧倒的である。
イエスと使徒たち。
今回国立西洋美術館に初めて出品された「法悦のマグダラのマリア」は、近づく死の中で性的歓喜を表現したあらゆる芸術の中で、唯一無二の作品だと思う。

カラヴァッジョは無法者、無類の乱暴者であった。
頃から剣を持ち歩いていた。決闘といえば聞こえがいいが、喧嘩をしては人を傷つけそして遂に人を殺す。
死刑の判決を受け逃げて逃げて逃げまくり、38才でいわば野垂れ死にする。
パトロンの枢機卿も手を焼き守りきれなかった。

超絶的リアリズムで血に塗られた聖書の世界を再現した、写真よりも忠実に。
天才と狂人の合体人を紙幣にしたイタリア人というのもスバラシイ、きっと天才のところだけを見たのだろう。流石にローマ帝国を生んだ国であり、芸術を認めたローマ人である。六月十二日まで国立西洋美術館で日伊国交樹立150周年記念として開催中。

上野精養軒で名物ハヤシライスかデミグラスハンバーグを食べた後に美人か美男と一緒にぜひ。デミグラスソースは上野精養軒が発祥とか。

2016年4月25日月曜日

「残念と無念」







「一票の価値」をつくづく思い知らされたのは四月二十二日の朝であった。
私たちの広告業界には東京コピーライターズクラブ(通称TCC)というのがあり、一年に一回新人賞が選ばれる。
投票によって選ばれた審査員が第一次選考をはじめとして公明正大に選ぶ。

コピーライターを目指す者はこのTCCの新人賞を目指し、見事選ばれたものはTCCの会員となり業界に於いてその地位を得る、それから先は本人の精進次第で先途は洋々する。

毎回審査委員長の意向で新人賞の数は変わる。
30人近い時もあれば10人の時もある。今回は24人であった。
私も一応会員であり、私の所に入社したコピーライターの中から三人新人賞受賞者が出た。現在三人共独立し、大活躍をしている。
準新人賞(かつてはあった)が二人、一人は作家としても活躍中、一人は広告をやめフランスに渡り画家となり活躍している。

残念なのは私たちの会社のOB荻田洋平君だ。
とてもいいコピーを書いて、いままでなら新人賞獲得であったが、その年の審査委員長が今回は10人しか受賞させないと決め、荻田洋平君は11番目であった。
委員長は佐々木宏氏という広告づくりとカラオケにしか興味のないという、つまらない男であった(ソフトバンクのCMとかサントリーのBOSSとかを大ヒットさせている)。
新人を発掘するのが我々大人の仕事なのに狭き門を更に狭くした。

今回一票に泣いたのは、私がクリエイティブディレクションした、高橋知義君だ。
未だ30才ソコソコだが抜群のセンスと才能を持っている。
雑誌「ソトコト」を発刊している木楽舎さんの「孫の力」という隔月刊の雑誌のポスター5点でトライした。PRは筒井真人君、AD+イラストは永易直樹君であった。

四月のはじめに第一次選考を通過し、四月二十一日の最終選考を待った。
で、結果は16票で新人賞、高橋知義君は15票であり残念無念となった。
今回は何故25人でなく24人というキレの悪い数字なのかは分からない。

一昨年何故佐々木宏氏という人間が10人にしたかは分からない。
新人は審査委員長にもてあそばされている気がする。
予め今年は最大何人までと決めて内外に発表しておいた方が、後味が悪くなくスッキリとする。新人が育てば業界全体のためになるはずだ。
ある年は30人、ある年は10人では一生懸命がんばった新人たちがかわいそうだと思う。

四月二十二日朝、結果を知りなぐさめの言葉を失ってしまった。
でも未だ若い、来年リベンジしよう。15票しか集められなかったのも事実だから。
来年は最高新人賞だ!頑張れ荻田洋平君、頑張れ高橋知義君、みなさんこの二人の名をおぼえておいてください。