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2016年11月30日水曜日

「シュウマイの朝」




昨日、東海道線列車内で足の爪を切る話を書いた。
ウソー、ホント?という話が一人、二人、三人とあった。ホントの話です。
きっとご婦人は足の爪が伸びているのが気になりながら、まあいいかと白い足袋を履いた、がやはり足袋の先が気になったのかもしれない。
爪はわずか数ミリでも気になりだしたら気になるものだから。

お行儀が悪いのはきっと本性が出たのかもしれない。
よく爪を噛む、よく深爪をする、よく爪の手入れをする。
そんな女性には気をつけるべしと遊び上手の先輩から若い頃教わった。
神経質と几帳面と執念深いからだと。
愛情の深い女性は男の爪を切りたがるとも教わった。

一人、二人、三人にそのことを言った。
へぇ~ホント、そういえばの言葉もあった。
谷崎潤一郎の足フェチ、足指フェチは有名だ。変態と言う人もいれば、谷崎潤一郎の女性的一面という人もいる。
女性が白い足袋を脱ぎ、素足を出し指を反らせて手をあてがい伸びた爪を切るシーンはエロティックであり映画的である。
今度映画を作る機会があったら(ないけど)そのシーンを必ず入れる。

心理学的にもストレスがたまった人はよく爪を噛むという。
夜遅く家に帰った時、奥方が爪に関わることをしていたら気をつけるべしだ。
同棲中の相手も同じだ。夜爪は切ってはいけないという位だから。
東海道線より横須賀線の方が、高僧やそのお弟子さんがフリースタイルでよく乗って来る。鎌倉があるからだ。

アデランス的シーンは珍しい事ではない。
一年中窮屈な生活をしているのだから、たまには開放してあげないといけない。
サッカー選手のように変わってヨコハマストーリーだ。
お坊さんは声がいいので歌が上手い人が多い。着物志向の女性には実にモテる。

昨日藤沢から男四人、女性一人がガヤガヤと乗って来た。
それぞれ××靴店の袋を持っていた。
十時二十分頃ドドッと座って、カンパーイと缶ビールを飲み始めた。
一人ひとり崎陽軒のシュウマイを楊枝で刺して食べ始めた。
むかし大好物であったが、突然ホタテアレルギー体質になって、ホタテが入っていることが売りの崎陽軒のシュウマイが食べられなくなった。

ヂクショー、クセイのなんの、五人はギャーギャーウルセイシ、女性はバカ笑いばかりする。クセイ、ウルセイ、前日何かイベントをした後らしい。
新聞を読んでいたら、いきなり前の席の男がガーンとリクライニング状態にしてきた。
行儀のいい人は、スミマセン後ろに倒してもいいですか、というのがルールと知っている。アタマに来た私は…。ご想像におまかせします。
東海道線には厳しいルールがあるのです。

2016年11月29日火曜日

「足の爪」




電車の中でお化粧するなんて、ある電鉄会社がマナー広告をして評判を呼んでいる。
問題を提起しそれが評判になればその広告の役目はひとまず成果ありといえる。

すごい人を二人、東海道線グリーン車の中で見た。
一人は髪フサフサの中年男であった。
顔のシワシワの割にはやけに髪の毛が多いとは思っていた。
11月末とはいえその日は暑かった。
直射日光を浴びたせいか藤沢駅を過ぎた頃、両の手で長い髪の毛をつかみ、ジワジワゆすり、両手でグイグイとカツラを外した(同じことをかつて見たことがある)。
それをヒザの上に置いた。バッグから出したスプレーで何かをカツラ内に吹きつけた。
ツルツルの頭にもブシュープシューとかけた。
持ち出したブラシとクシで、カツラの毛を丹念に丹念にとかした。
別にいいじゃんと言えばハイとして言いようがない、カポッと頭にのせると別人となった。
切符チェック&売り子の女性が来たので、笑顔で冷たいお茶を買った(多分お坊さん)。

大船から年の頃は五十五、六、七才位の実に身じろいが正しい着物姿の女性が乗って来た。何やらクラシックのイベントに行くようだ。そこに携帯が鳴った。
蚊の鳴くような声で、今、電車の中なの、もう少ししたらかけます。
と実に育ち良しやという感じであった。
次に染付けのトートバッグからスポーツニッポン紙を出し、前の席にそれを広げた。
そして片足をスポニチの上にのせた。
次にバッグから小物入れの様な物を持ち出し爪切りを出した。
そして足袋を外し、足の爪をパチン、パチンと小気味よく切り出した。
みんなの表情が止まった。

それはまるでノーマンロックウェルの描く、イラストレーションの様であった。

2016年11月28日月曜日

「二重生活」




ある一羽の鳥から聞いた話である。
鳥の名は鏡子という。大学の哲学科三年生である。

教授に呼ばれ卒論のテーマを与えられる。
「人間のうしろ姿に見る考察について」。
鳥類の学校は勿論空の上である。

通常は空の上から見る鳥瞰学であるが、卒論は人間をまうしろから見る。
つまり人間の数だけ表があり、裏がある。
それは決して犯罪に結びつくものばかりではないが、秘密であったり、不誠実であったり、密通であったり、変身願望であったりする。

高名な文学者の妻には万引きという病があったり、評判高潔の経営者は赤ちゃん願望だったりする。
国の行方を左右する政治家はホテルの牛乳風呂の中で女と交わる。
捨てるほど金がある大富豪は、廃品回収が何よりの趣味である。
有名な芸能人は暴力行為が何よりの快楽であり、大金を払って女性の指を折る。
高名な科学者は昼間から少年を弄ぶ。

鳥たちは朝な夕なに集ってはその日見たことを報告しあう。
鏡子はそんな鳥の話を論文にまとめる。
人間のまうしろには、すべての「不」がついてくる。
不信、不満、不安、不義、不倫、不良、不快、不眠、不誠実。
スマホの画面で指を広げればその「不」は拡大される。
タッチボタンを押せば「不」は一瞬で世界に拡散する。

鏡子はいつしか人に背中を見せられなくなった。
自分が不正、不道徳をしていると思ったからだ。
大学の教授にそのことを告白する、この論文はもう書けないという。
教授はいう、それを克服するのが、キミ哲学なんだよと。

ある日鏡子はタトゥーの店に行く。
全身刺青だらけの男が何を彫りますかと聞く。鏡子は私の正面を彫って下さいと頼む。
その日鳥たちは強烈な殺鳥剤によって一羽残らず駆除された。
かろうじてツバメの子が一羽助かった。
前もうしろも同じようになった鏡子が、街の中で人のうしろ姿を追っていた。
その相手は哲学を教える教授だった。さて、教授の向かった先は(?)

映画「二重生活」にインスパイアされてこれを書いた。
小さな庭にリンゴを四分割して置いておくと、鳥たちが来る。
私は一方的に話しかけ、鳥の鳴き声から話を聞く。
午前五時二十八分五秒、いつものグラスにチリ産のワインを注いだ。
鳥の唐揚げが三個お皿に残っていた。楊枝でそれを刺した。

2016年11月25日金曜日

「リリーと室生犀星」



リリーの日記が元になり、1933年画期的な「男から女へ」が出版された。
彼女の勇気が今もトランスジェンダー運動を鼓舞し続ける。
ゲルダは生涯リリーの肖像画を描き続けた。
この文字がラスト黒ベタの中に白ヌキの文字として出る。

アカデミー賞受賞作「リリーのすべて」だ。
1900年代初頭のデンマーク、この頃男の中に女がいる性同一性障害は精神分裂と診断されていた。四十代あるいは三十代後半の美男美女の夫婦がいた。
二人共中堅の画家である。
夫は風景画を描き、妻は肖像画を描くが個展をしても画商の評判は高くなく売れない。

ある日妻は夫にバレリーナの足の仕草のモデルになってと頼む。
夫はソファに横になりポーズをとる、妻はやっぱりバレリーナの服を着てと頼む。
二人は愛し合う夫婦であったが、この瞬間から二人の運命は劇的に変わって行く。

夫は、夫の名があったが女性である自分の目覚めに気づく。
妻はほんのゲーム感覚で女装する夫を「リリー」と名付ける。
自分の本当の性に目覚めた男はリリーになって行く。妻はそんなリリーを描き始める。
やがてその絵は画商の目に止まりパリで個展をするまでとなる。

リリーは更にリリーになって行く。心配した妻は医師にリリーを診せる。
カルテには精神分裂と書いてある。拘束されそうになるが、リリーはその場を逃げる。
夫婦は一人の医師と出会う。医師は性転換をすすめる、真実の自分になるために。
だが失敗すれば死ぬこととなる、リリーは手術に挑む。そして…。

映画が名画になっている、それは冷たく重い北欧の雲のようであり、美しく儚い粒子が息をする文学でもある。ドキュメンタリーでもある。
今年観た映画の中でNo.1であった。

昨日は身も心も売る芸者稼業をした。
考え抜いたことが受けなければ粗大ゴミを大量に作ったことに過ぎない。
こちらは形なった仕事である、お世話になっている会社の大事な仕事を無事作り上げ、軽い打ち上げをして帰宅した。みなさん喜んでくれたのでホッとした。
頭の中をリセットするには映画が何よりだ。

借りて来ていた「リリーのすべて」をまず一本、もう一本「蜜のあわれ」を観た。
こちらは“室生犀星”の原作を“石井岳龍”監督で作っていた。
“大杉漣”が今年観た日本人俳優の中でいちばんよかった。
室生犀星を演じて赤い金魚の生まれ変わりの“二階堂ふみ”と、組んず解れつ老作家になりきっていた。この映画の映像がすばらしいと思ったら、カメラマンは巨匠“笠松則通”さんであった。

「リリーのすべて」のスタッフとキャストはすべて語らない。
ぜひ借りて来て観てほしいからだ。原作はThe Danish Girl、現在性同一性障害は決して異常ではない。どの人間の中にも異性は潜んでいるらしい。

2016年11月24日木曜日

「小雪」



11月22日(火)渋谷宮益坂上側のラ・プラーヤという店でランチをした。
美女三人と共に、極上の味のパエリアを四人で食べた。スペイン料理だ。
パエリアの料理を四人で割ると、一人1000円位だろうか、リーズナブルである。

カニの名は失念したが、世の中では越前ガニ、中国では上海ガニと言っている。
小ぶりだが実に繊細な味、高貴な味がする。
シェフがハサミで外子という部分を切り出してくれた。
小さな粒々の子が濃赤色でビッシリと詰まっていた。

パエリアはオコゲの部分も旨い、色が赤い。
フツーのパエリアは、白や黄色だ。
食すとケチャップのようなので、これケチャップと聞いたら、シェフにサフランで出している色と味だと怒られた。
シェフはそんなこと知らねえのかとガクッと肩を落とし、強い酒を飲んだ。

私の食に対する知識はほぼゼロに等しい。知ろうとする気構えがないからだ。
安くて旨ければOK。ヤキトリと焼鳥丼なら茅ヶ崎「鳥仁」、チャーハンと五目そばなら銀座「菊鳳」、とんかつなら藤沢の「大関」、カルビスープも藤沢の「トザワ」この二店は湘南工科大学前。
だし巻き玉子は茅ヶ崎「賀久」、ラーメンは荻窪「春木屋」、お寿司は新富町「寿し辰」、五目そばは「銀座アスター本店」。
一番高いのが銀座アスターだが他は800~1500円で極上の味、私的には★★★★★だ。

ラ・プラーヤで、少年時代の憧れの天才少女、現在ある大学の名誉教授に白ワインを一本置いた。時々来店するので。
白いラベルに何をひと言書こうかと思っていたら、今日は「小雪」ですよとワインを選んでくれた女性が言った。
そうか、二十四節気ももう小雪かと言うと、シェフが小雪という女優が一度来たけど、どうってことなかったのよ、などと言ってギャハハハと笑った。
料理は誰にもどこにも負けないが、口が悪いんでイケマセン、グァハハハと笑った。

11月24日は小雪どころか関東地方は大雪になると天気予報が出た。
今日はひと勝負の日である。心身を清め、いざ出陣なのだ。
23日昼、出版関係の人と家の近所の「紅がら」というおそば屋さんで会った。
おそばはここだ。日本酒を二合ずつ、相手はもずくとハンペンの磯辺揚げを頼み、私は板わさを頼んだ。生わさびが鼻にツーンとくる。
家の冷蔵庫の中にあるチューブのわさびとは違う。


午前三時〇一分四十一秒雨がしきりに降っている。
ぐんと冷えて来た、東京都内には小雪が舞うのかもしれない。
嫁としての介護、学者としての仕事、そして妻の役目。
友は元気だろうか。

2016年11月22日火曜日

「アメリカンドッグと南スーダン」



世の中には薄気味悪いのがある。
例えばJALのCAの気味悪い作り笑いの接客態度、マニュアル通り笑う。腹の中は(?)(?)だ。
テレビの夜のニュース番組の終わりにMCを頭にニュースキャスターやゲストコメンテーターやずっとひと言もしゃべらない女性が、バカていねいに三つ指ついて平伏し、頭のてっぺんを画面に写す。
腹の中は(?)(?)だ。

昨夜午後七時四十分頃、私は銀座一丁目の大塚家具ショップ側の道を歩いていた。
左サイドにナチュラルローソンがあった。そこを通り過ぎようとすると、店内から二人の若い女性(27、8才位と35、6才位)の首から上、つまり顔がニョキッと出ていてじーっと外を見ていた。
右にいた女性と目が合ったと思った。目力はなく、なんとなく見ていた。
一人は下を見ていた(スマホ)。生首が見えるようで気味が悪いシュールな感じだった。

ミネラルウォーターといいちこを買うかと思い店内に入ると、二人は食事中だった。
イートインだ。4つの椅子は外を向いている。二人はだらんとしているので首だけ外から見えたのだ。
若い方はカルビ丼を食べ、もう一人の方は五穀米チャーハンを食べていた。
なぜ分かったかというと、入り口にそのメニューが割引中とポスターが貼ってあったからだ。
一人メシという訳だ。500円で22円おつりがくる勘定であった。

その時JALのCAとテレビのMCの作り笑いとウソっぽい三つ指が浮かんだ。
二人の女性の一人メシはリアルな現実であった。男たちよ何をしてるかと思った。
小雨降る銀座、月曜日の午後七時四十分、若い女性のイートインというのはどうもいいシーンではない。

レジを打ってもらっていると、前のお客が先っぽが茶色くふくれあがったアメリカンドッグに、赤いケチャップとカラシをかけそれを持ち、空いている椅子に座った。
左手にスマホ、右手にアメリカンドッグ、先に置いておいたのか細長いテーブルの上に、第三のビールが置いてあった。足もとには重そうな黒いカバン。

♪~今は黙して行かん 何をまた語るべき…そんな歌を思い出した。
アメリカンドッグの男は(56、7才位)外から見るととてもたそがれていた。
髪に残り毛は少ない、今年も残り少ないなと思い仕事場に向かった。
あれほど国会で反対運動をした戦争法案はすでに実行されている。300人近い軍人(?)が南スーダンに向かった。
日本人は諦めることと、忘れることの天才である。
♪~さらば祖国 愛しき人よ…と歌は続く。
小林旭が唄う「北帰行」

2016年11月21日月曜日

「一日入学」




学校嫌いの私はその夜、学校に行った。
十八日(金)「福岡伸一の知恵の学校」である。
場所は雑誌「ソトコト」を発行している木楽舎がある、築地明石町のビルの三階であった。

年会費一万円を払っていないのだがぜひ来ればと言われ、夜七時過ぎにオソルオソル行った。70席ほどある会場は満席であった。すでに始まっていた。
かろうじて空いていた一席に座らせてもらった。
正面には丸いテーブル、ミネラルウォーターが二本置いてあった。
手にマイクを持って、左に校長の生物学者福岡伸一教授、右には阿川佐和子さん。

会場には男女半々位、オッ、やけに美人が多いななどとダメな私であった。
お二人はテーマである「本」についてジョークを交えて本にまつわる話について語る。
福岡教授は実に座談の名手で、柔らかな口調で阿川女史から話を聞き出す
一方、阿川女史は大ベストセラー「聞く力」を出した位だからやはり座談の名手。
名手と名手の対戦は広く深く、鋭く可笑しく、生徒を引きずり込む。
出版関係の人とか雑誌社、文芸誌の人とかが多いように思われた。

みなさんノートとかメモを取り、話に聞き入っていた。
私もそれを真似て原稿用紙とボールペンを出しそれなりの生徒姿となった。
ジジ殺しの異名を取る阿川女史はグレーのスカートに黒のストッキング、シャツの色は黒だったと思う。グレーのカーディガン着ていて可愛かった。
福岡教授にチクリ、チクリとジジ殺しについて聞かれていた。

阿川佐和子は翻訳家でもあり自身が訳した本を紹介した。
読んでますかと聞かれ何人もがハイ、ハーイと手を挙げた。
私は恥ずかしながらその日お二人が紹介してくれた本を一冊も読んでいなかった。

お二人が共通して言っていたのは幼児期の体験が人生をたすけてくれると、昆虫少年の福岡教授と阿川弘之という怖ろしい作家を父に持った阿川女史の幼児期の話は興味深く、洞察に富み面白かった。
八時半終了をオーバーしても生徒さんの質問にていねいに応えていた。
養老孟司、玄侑宗久、田中康夫、内田樹、川上弘美、隈研吾、佐藤卓、山口果林、すばらしい知力の人たちが特別講師として名を連ねていた。

年会費一万円、私は入学を考えている。
世界初の「知性を育む学校」と入学を案内していた。
この日出た本の名は記さない、インターネットで配信しているので。
ずっとカメラが回っていた。想像の何倍も超えいていい学校です、ぜひご入学を。
それにしても読んでネェ~ないい本をと思った。

朝から何も食べてなかった腹に、90分の知力が入った気がした。
トボトボと仕事場に戻った。(文中敬称略)

2016年11月18日金曜日

「ノドンとうどん」




ピコ太郎のダンスに芸人魂の素晴らしさを知って、何度も何度も人のスマホで見せてもらった。
才能を認められながらも売れる事がなかったが、天は才能を見捨てず“アイハブアペン、アイハブアンアップル”を神の啓示の如く与えた。苦節十数年ピコ太郎は大ブレイクした。
諦めないで来た結果だ。

私は“一発”を誰より尊敬する。また憧れるのだ。
古くは伴淳三郎の“アジャパー”、花菱アチャコの“ムチャクチャデゴジャリマスガナ”、脱線トリオの“チンチロリンノカックン”、Wけんじの“やんなぁ”、トリオスカイラインの“ナツクナ”、セントルイスの“田園調布に家が建つ”、近くではゲッツ坂野の“ゲッツ”、一番好きなのは人生幸朗の“責任者呼んで来い!”だ。

今、世界の責任者がシッチャカメッチャカになって来た。
私の予想が大外れしたアメリカをはじめ、フィリピン、シリア、韓国、南スーダン、更にフランス、ドイツらの大国も責任者が変わろうとしている。世界は三国志になると思う。中国、ロシア、アメリカ。
したたかなロシアは今、ほくそ笑んでいるはずだ。
否、核を持った大国インドを足して四国志かもしれない。
ピコ太郎がいつまで持つかは分からないが、年末までは何とか持ってほしいと願う。
隣の国からノドンが一発飛んで来ないことを願う。責任者がアブナイからだ。

今日私の昼食はかき揚げうどんであった。

2016年11月17日木曜日

「ホッキ貝」




決してヘイトスピーチではありません。
写実的表現と思って下さい。

ご婦人たちはとにかくよく食べるということ。
しらす軍艦四貫、マグロ三種六貫、アジ二貫、焼きサバ二貫、ビール中ジョッキガブ飲み、ギャハハと可々大笑。
で、穴子一本二貫、イクラ軍艦二貫、ウニ二貫、ビールグビグビでおかわり、で、イサキ二貫、イカ四貫、白子軍艦二貫、これはタダよねとガリをガリガリ、ギャハハハと来てカニ味噌汁、で〆に鉄火巻き、カッパ巻き、タクアン巻き、私が耳にしただけでご婦人三人はこれだけオーダーした。

マグロの解体で有名な社長の店、私たち斜め前の三人はこれから歌舞伎を観に行くのだ。
海老蔵がさ京都の祇園の女性と遊んだみたい、市川右近のおさがりだっていうじゃない、ギャハハ。
三田寛子はしたたかね顔に似合わず、米倉涼子と海老蔵は長かったんでしょ、私失敗しないしなんてドクターXでいってるけど、米倉涼子なんてすぐ離婚、大失敗よね、ドゥハハハ、藤原紀香なんか風水頼りって言うからすぐ縁起悪いって別れるわよ、あたしやっぱり最後にホッキ貝二貫もらうわ、結構食べたわよね、マアマアじゃない。
あなた歯にノリついてるわよ、アライヤダ。
ねえ中村獅童と別れた竹内結子って、ずい分色気が出てイイ女になったと思わない。
芸の肥やしがよかったのかしら、子どもはどうしてんのかね。

と、まあご婦人たちはすこぶる元気なのであった。ところでさあ、紅白歌合戦の司会って決まったの?誰でもいいんじゃないの、歌舞伎座前の弁松でお弁当買いましょ。

あの人たちにも人前で恥じらう少女時代はあったのだ。時の流れは残酷な仕打ちをするものだ。
ファッションセンターしまむらで買ったような服を着た三人は交差点を渡り、弁松に向かって行った。

高名なデザイナーの先生が言った言葉を思い出した。「人間はねセンスなんだよ」耳の痛い言葉であった。

2016年11月16日水曜日

「ボヴァリー夫人」




敬虔なクリスチャン良家で育った高貴で理知的な美しい女性が、実直で清廉な医師と結婚する。親は御祝いに金の食器を贈る。

医師夫婦は自分の故郷で患者を診る生活へ入る、いつかは開業しようと。
都会で育った美しい夫人は村の評判となる。
あざとい商人が来て、家具やカーテンや敷物、衣服や宝飾品を売る。
支払いはいつでもいいですよと。何故なら医師には遺産相続する土地があるから。

美しい都会の夫人にとって、村の生活は退屈でしかない。
患者の治療に尽くす夫、生活の事は召使いがする。
やる事といったらピアノを弾くことか、クッキーを焼くこと位しかない。
そんな夫人にとって結婚は不幸せでしかない。

村の有力者の男はそんな夫人に言い寄り二人は激しく関係する。
商人から次々と着飾る物を買う。が、激しく迫ってくる夫人は男にとって重荷になり夫人を捨てて村を出る。

やがて夫人は都会から旅に来ていた若者を求める。
そのためにまた商人から物を買って着飾る。
夫の目を盗み都会に出て若者の職場まで行く。若者はそんな夫人を追い払う。
職場の上司から不倫なんかしているとクビだと言われて。

傷心の夫人が家に帰ると夫は商人に請求書を突きつけられている。
借金はいつしか莫大となっていた。
支払いはいつでもいいと言ったでしょと言うと商人は、冗談ではない自分だって厳しいんだと言う。そして有力者の男が村に帰って来ているから金を借りればと言う。
夫人は男のところに行き借金を申し込む、あなたはずっと私を抱いたでしょと。
男は君に貸す金なんかないと断る。

夫人は差し押さえられすべてを持って行かれた家の中に、隠しておいた金の食器を持って商人のところに行く。だが商人がくれたのはワンコインだけだった。
夫人はもう自分の体しか売るものはないと商人を誘うが商人はつれなく突き放す。

“退屈”ってものは高くつくと。夫人にとってやることは一つしかない。
昨日深夜ヘドロのようになった頭の中を浄化するために、借りて来ていた「ボヴァリー夫人」を観た。

美しい女性を妻に持つ世の男性よ、変化を見落とすことなかれだ。
“退屈”と“愛”に気をつけるべし。何、ウチの奴は不細工だから心配ないだと、バカモノめ、女性は顔じゃないんだよ。
午前四時五十三分三十二秒、いつものグラスに酒を注いだ。
つま味は小アジの南蛮漬けを四匹。

2016年11月15日火曜日

「イクラはいくらも」




五角形の入れ物の中に、カニ、イクラ、シャケが入っている駅弁がある。
北海鮮弁当というような名がついていた。一個1180円である。
その弁当を私の前に座った老人ご夫婦が二人で食べていた。

写真と比べるとずい分イクラは少ないし、カニは細い。
シャケはどこにあるのかしら、ホラここだよここ、あら、ずい分と薄っぺらいのね、たった三切れしかない。仕方ないよ駅弁だから、でも駅弁の中では高いのを買ったのに。
そうだな大失敗だったな。イクラなんか数が勘定できるほどしか入ってないね。
あらお箸割るのを失敗してしまった。先っぽが二つに割れなかった。
これを使いなさい。いいわよこれで。

小津安二郎の名作「東京物語」の笠智衆さんと東山千栄子さん夫婦のようなほほえましい光景があった。東京駅で売っている駅弁はかなり偽装的である。
私の前にいたご夫婦は久々に見る品のいいご夫婦であった。
あらイクラが飛んでしまったわ、私の足もとに小さな赤い粒が飛んで来て落ちた。
イクラはいくらも入っていなかったから貴重な一粒であったはずだ。

2016年11月14日月曜日

「越前若狭・焼鯖寿し」



新浦安駅からクルマで約10分のところに高洲小学校があった。
朝七時半に目覚まし時計をかけて起き、ボーっとした頭を熱いシャワーで攻める。
コーヒーを淹れる。いよいよ今年で終わりにしようと思っている朝日新聞を読む。
八時TBSで関口宏のニュース番組が始まる。

姜尚中、大宅映子、目加田教授、岸井成格などのレギュラーメンバーがトランプショックをコメントする。世界中がトランプショックで呆然としている。
フジテレビのコメンテーター木村太郎が予想が当たったからと引く手あまたで大ハシャギであった。

高洲小学校で小四の孫のサッカー応援をした。
九時過ぎ愚妻と共に家を出た。サッカーを応援した後、ひと仕事をする。
試合は残念ながら0対1、1対4で二連敗であった。ベスト16であった。
20分ハーフ、40分間走り続けていた。
陽差しが強く20度近くあったのでかなり汗をかいた。80メートル位と思われる試合場を両軍16人の少年たちは懸命に走り、攻め、そして守る。

第一試合が終わった後、学校の斜め前のイトーヨーカドーに行きお茶でもしようと思ったが、スーパーにはそんな処はなかった。
汚れが目立つエレベーターの中に、やたらに当店の生鮮食物には“放射能汚染”はありません、キチンと特別に検査してますと貼り紙があった。

その後仕事場に行き、約10万語、原稿用紙にして2500枚の生原稿の読み込みを始めた。
大先輩の書き下ろし大長編小説である。身が引き締まる。
先ずお前が読んでくれの命であった。ある会社のプレゼンを頼まれていてその原稿も書く。日曜日は静かである。陽を浴びたせいか顔が火照っていた。

月曜日に私の期待する人のパーティーがある。
出席が出来ないかもしれなくなっていたので、激励の花を送っておいた。
日本も世界も右傾化になる。孤立主義、保護主義はかつて世界戦争にと向かった。戦争か平和かが現実的テーマとなって来た。期待の人には頑張ってほしいと願う。

場末のキャバレーのような派手派手のトランプ一族を見ていると、ゾッとする。
更に、トランプは本当は話の分かる奴、実はインテリ、頭はシャープで柔軟性がある、交渉しやすい相手、なんて話をテレビに出ているいつもの連中がいう。
手のひら返しのコメントをしている。それを見ると、ゾッゾッとして体が寒くなる。

トランプにとって我が国は“戦敗国”、金ヅルでしかない。
純粋な少年たちを見て救われたが、夕陽が落ちるほどに気分も落ちた。
世界はファナティシズム(狂気的)の時代の中に入った。

出よ人物、私は決して諦めない。きっと乱世には人が出る。
少年少女の行く先が戦場にならないために。
それにしても大先輩はさすがに凄い筆力を持っていた。
東京駅で買った“焼鯖の棒寿司”を食べた。










2016年11月10日木曜日

「ドミノピザ」


夢から覚めたら悪夢だった。トランプもヒラリーもそんな思いだろう。
負けるはずはないと思っていたヒラリーと、勝つはずはないと思っていたトランプ。
ヒラリーは勝利者宣言を考えていたが、トランプは考えてもいなかった。
二人の姿にそれが有り有りとしていた。
トランプはこれからの事の重大さに気づき、えっ、ウソ、ホント、オレ政治なんか興味ネエし、わかんネエし、浮気もできない。4年間も拘束されるなんて、正直そんな気分かも知れない。

アメリカという国を、株式会社アメリカ合衆国位に軽く考えりゃいいってもんですよボス。何回も会社を潰した経験が活きるってもんですよボス。
オオそうかお前いい事いうな、国務長官にしてやるぜ。何、財務長官の方がいいってか、よしそうしてやるぜ。FBIのコミー(長官)のヤローなかなかいい芝居をしてくれた。だがよ食えねえ奴は用心しなきゃな、一歩間違えばヤバかったしな、オイ俺のホッペをつねってくれや夢かも知れないから。こうなったら大嫌いな日本人をトコトンいじめてやる。真珠湾を忘れるなだかんな。
未だ未だ金を持っているし、ちょいとオドせば、ブルっちゃって幾らでも金を出しますよボス。
オイ、PTAじゃネエTPPだけどよ、オバマの奴銀座の次郎だがっていうバカ高い寿し屋で、念押しをしたらしいけど俺はアメリカ第一、白人第一だからな、とりあえず放っておけだ。
ボスアメリカの70%は女性と有色人種ですぜ、メキシカンとかイスラエルの連中はヤバイからボディガードをバッキバキに増やしやしょう。
そうさな俺にソックリな影武者を何人か探せや、ヘイボス。なんだか面倒臭えな。
マドンナやレディガガ、ブルース•スプリングスティーンなんて連中はどう落とし前をつけましょうかボス。
ウォールストリートの金の亡者たちは、バカヤロー俺の方が金の亡者だ。
ヘイそうでやしたボス。

私の夢の中にこんなシーンは浮かばなかったが、こんなことだろうか(?)。


ところでドミノピザは未だ来ねえのか、ヘイ今出たそうです。
まったく日本のそば屋の出前みたいだな。
すぐ日本の総理大臣を呼べや、大切な金ヅルだからな、一発ハッタリかましとくから。

2016年11月9日水曜日

「大外れ」

嫌われ者同士の戦いはトランプに軍配が上がった。

野心家のヒラリークリントンは銭こそすべて、欲望こそすべての男に敗れた。
日本国はパニックを起こす。経済界も同じで株価は1,000円近く下がった。
円高はいずれ90円台となり、円高不況となる。
TPPなんて絶対反対といっているトランプに対し、今国会でスッタモンダをやっているのは何か。
ヒラリーが勝つと思っていた日本国政府は、トランプとの外交ルートがない。
大マスコミの予想も大きく外れた。
FBIのメール問題が影響した。つまりはFBIが大勝利を納めた。
アメリカ合衆国とは疑惑に満ちた怖しい国である。
メキシコのマフィアたちがトランプを狙い打ちにするかも知れない。
ホワイトハウスの中は大パニックであろう。
TPPは何処へ行くのか、病葉(わくらば)となり川を流れて行くのか、関係各位の人々は今、大きな徒労感を味わっていることだろう。賛成も反対も。

私の予想も大外れであった。ヒラリーは大嫌いだけど。

2016年11月8日火曜日

「大統領選とダイナー」




ダイナー(diner)を制するものはアメリカ大統領を制すともいう。
日本でいえばファミレスだろうか。アメリカ中にあり、あらゆる人種が集まる。

たっぷりのミルクに卵を入れてかき混ぜる。そこに大きなカットパンを入れてフライパンで焼く。メイプルシロップをたっぷりとかける。
バカでかいバンズ、バカでかいハンバーグ、レタス、トマト、玉ネギ、それにチーズ。アメリカンハンバーグだ。大量のフライドポテトチップとポテトフライ。
トマトケチャップをどっぷりとつける。
バカでかいチキンを溶き卵につけ小麦粉に浸し、油で揚げる。
卵5つ分のスクランブルエッグ、太いソーセージ、お決まりのフライドポテト。
大きなマグカップのコーヒーにはシュガーを一袋ゴッソリと。

シェールガス革命に命をかけたが、サウジアラビアが減産を中止したのでシェールガスは安い石油でなくなり、シェールバブルは終わった。
群がった男たちは消えてしまい残ったのは動きを止めた油田ばかりだ。

太るために必要な全ての食べ物と飲み物をペロッと平らげる。
男と女たちは言う、移民を止めさせろ、不法移民は帰せ、イスラム教徒の首を斬れ、既成の政治家のウソとゴタクを並べる言い訳にはもうオサラバだ。

アメリカ全土で20万軒はあるというダイナーでは、投票最後の日の夜までヒラリーかトランプかをビールを飲み、コークを飲み、バカでかいハンバーガーを食べながら語り合う。と言うより怒鳴り合う。
履き古したジーンズ、泥だらけのブーツ、色あせたタータンチェックのシャツにつなぎのバンド、安手のコート・ジャケットにテンガロンハット。

年金暮らしという老人たちは口を揃えて、既得権益の代表、嫌な女、野心家ヒラリーはトランプに負けてしまえと。
ダイナーには大統領候補も来て運動をした(11月7日午前二時BSにて)。
日本でいえばデニーズ、ガスト、ロイヤルホスト、ジョナサン、ココス、すかいらーくなどだ。

一人の天才からTempo dropという不思議な置物を送ってもらった。
一見理科室にある実験用のようなものだ。円錐の三角形のビーカーの中に、米麹みたいな白い粒子が自在に浮遊する。その日の天候などによって無数の白い粒子の動きが変わる。海底2万マイル探検の時に役立ったとか。
航海術や気象学などは全く分からない私だが毎晩その変化を見ている。

アメリカ合衆国はどんな変化を見せるのだろうか。
肥満大国は砂糖とコークとハンバーガーとポテトで滅びるともいう。
いつものグラスにジンを入れた。
BGMは沖縄の友が送ってくれた飛び切りいかしたTerry Callierの音楽だ。
R&Bのような、ビーバップのような、ソウルフルなギターと叫びだ。
悲しい夜にはやけに沁みる。

2016年11月7日月曜日

「コンフィデンシャル」



名優ケビン・スペイシー主演の映画に「LAコンフィデンシャル」というのがある。
すべては疑惑の中というアメリカの実態だ。
名優デンゼル・ワシントン主演の映画に「トレーニングデイ」というのがある。
アメリカの警察はヤクザよりヤクザなのだ。
名優アル・パチーノとロバート・デ・ニーロの主演映画に「ゴッドファーザー」がある。
アメリカはマフィア国家なのだ。この映画の主演中の主演はマーロン・ブランド。
名優ジョージ・C・スコット主演映画に「パットン大戦車軍団」というのがある。
アメリカ人は戦争大好き国家なのだ。

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」という映画では、アメリカの有力組合の委員長がウインナーソーセージにされてしまう。仲間に追われたギャングのボスは自らゴミ収集車の中に入り、ゴミとして砕かれる。アメリカ人の大好きな言葉は、ジャスティス(正義)だ。正義の大安売り。
が「スミス都へ行く」という映画では、正義心の固まりのような上院議員スミスが法律で定められた方法で24時間ブッ通しで不正の追求をする。トイレ以外座ったら即演説は終わり。
「スミス都へ行く」は議員の教本となった映画だ。

アメリカという合衆国は正義から極悪まで、ユダヤ人とギャング、マフィアがほとんど支配している。
世界ヘビー級チャンピオンと大統領はギャングとマフィアがつくるといわれている。
ボクシング映画の名作は多くある。
その多くは八百長試合を拒否したボクサーがその命である拳を粉々にされる話だ。

さて、いよいよアメリカの大統領選もラストシーンとなった。銭こそ命のトランプと、野心こそ命のヒラリーの泥試合だ。
正直私はトランプは泡沫と思っていたのだがここまで来るとは、アメリカも人材不足なのだ。
目くそ鼻くその戦いだな。ブッシュがゴアをイカサマで負かしたように、今は相方のバックがイカサマを練っているはずだ。どっちにしても習近平やプーチンの相手ではない。
FBIがどうして法を犯してまでトランプ支持に動いたか。
それはトランプ勝ちを読んだからだと思うが、コンフィデンシャルなのだ。

メリカ合衆国は確実に滅びはじめている。「博士の異常な愛情」という映画では、ジョージ・C・スコット将軍が、大統領たちに核をバンバン打ち込めと言い放す。これがアメリカの本音なのだ。
ヒラリーが勝てば、FBIの総取っ替えとなるはずだ。
レームダック(死に体)といわれたバラク・オバマが実は生き体になっていた。
これほど頭脳的な大統領はF・ルーズベルトしかいない。どっちが勝っても影響力を持った。

もしかしてFBIを動かしたのは(?)さぁ~どっちか、丁か半か、銭か野心か。
アメリカ追従、アメリカ一辺倒の日本国はその先が見えていない。
銀座のデパートの館内放送は中国語ばかりなのに。商人は政治家の何歩も先を見ている。
堺や博多の商人が、織田信長を秀吉を使い光秀を焚き付けて殺したように。
かつての商人たちはマフィア以上であった。

2016年11月4日金曜日

「文化の日」



前夜、強く降っていた雨はすっかり上がり、神奈川県大和スタジアムは久々の晴天になっていた。別名ドカベンスタジアムといわれる。
グラウンドの入り口には水島新司氏が生んだ人気漫画の主人公ドカベンのでっかい彫像があった。

午前九時試合開始なので目覚まし時計を六時半にセットした。
早く寝ようと十二時頃にふとんに入ったが結局眠ったのは午前二時を過ぎていた。
やけに腹が減っていたのでトーストを一枚焼いた。
紅茶を少し飲んで再びふとんに入った。睡眠導入剤といつもの酒を追加した。
目覚まし時計が鳴った時テレビは付け放しで、小さな電気スタンドも付け放しであった。枕元に週刊文春が開き放しになっていた。レコード大賞に裏金一億円の記事があった。

辻堂⇔藤沢⇔大和と東海道線と小田急線で行くことができる。
八時半頃スタジアムに着く、素晴らしい球場であった。
ミサワホーム杯親善野球大会、相手は“横浜金沢”であった。
前の週の試合、横須賀スタジアムで愛する孫(中二)は三塁打で二打点、満塁ホームランで四打点、試合は7対0で六回でコールドゲーム勝ちをした。
夜ビデオでそれを見てみんなで大拍手をした。相手は強い“保土ヶ谷シニア”であった。

体の小さい孫も少しずつ大きくなり練習の成果が出てきたのと、食事の量が増えパワーがついて来ている。このところ当たっていると聞いた。
スタンドのベンチは未だ雨が残っていて、太陽の強い光を浴びて一気に蒸発していった。朝寒かったので厚着をして行ったがすぐに一枚二枚と脱いだ。

息子のお嫁さんが当番で朝五時に起き、一度ホームグラウンドで集合し他のお母さんとお茶やらコーヒーを用意してグラウンドにいた。
この日お嫁さんが家に帰って来たのは夜九時少し前であった。

3対4で残念ながら敗けてしまった。孫は三打数一安打であった。
一番サード第一打席いきなりセンター前ヒット。六回打球が来たが軽快にさばいた。
試合開始直前お嫁さんの携帯に私宛の電話が入り私はそれに出た。
決していい内容の話でなかった。気分はドスンとなったが声援を送り続けた。
第一試合に勝てば午後一時からもう一試合であった。
が、敗けたのでみんな荷物を乗せてそれぞれ寒川神社近くのホームグラウンドに帰り、練習であった。11人の少年たちはクルマに乗って行った。涙と無言であった。
最終回一点を入れて、あと一本ヒットがでれば同点であったが勝負は甘くない。
当番のお母さんたちもヘトヘトになる。
職人の息子は仕事に出ていて試合を見れなかった。

この日船橋の娘の息子(小四)がサッカーの県大会を九十九里の方でやっていた。
第一回戦4対0、第二回戦3対1で勝ってベスト16になったと電話が入った。
孫は一ゴールを決めたと聞いた。私にとってこんなニュースが何よりの話なのだ。

久々に藤沢駅ホームの大船軒で、チャーシューメン(520円)を食べた。
実はこのラーメンが格別に旨いのだ。さっぱりとしたしょう油味で人気なのだ。
小田原行が16分遅れなので食べる事ができた。
列車に乗り座ると一気に眠気が来てしまった。

家に帰り返却日となっていた映画「殿、利息でござる」を観た。
これはいい映画であり勉強になった。大船軒のラーメンに匹敵するいい味であった。
史実に基づいている話で、現代の金儲け第一主義の人たちに是非オススメだ。
監督よし、カメラよし、照明よし、何より一人ひとりの役者よし、歴史家磯田道史氏の原作よし。代官様は悪い人ばかりでなかった。
役人社会の仕組みは現代以上に複雑であった。
戦のない時代、武士が多過ぎるのでいろんな役職をつくり、縦割りの仕組みがあった。
人間ヒマほどの敵はない。週末是非ご覧あれ。


2016年11月2日水曜日

「ブリ大根と官僚」




次に書くことが私の危惧で終わることを願う。
豊洲の盛り土(つち)問題の元凶はこの者たちに有り、と名指しされた東京都の副知事以下の姿をテレビで見ると、何か重大なことを覚悟しているように見える。
キーマンが一人二人と背任を負ったり、負わされたりして姿を消すケースは数多い。
官僚(役人)の掟である。

カメラのレンズを通すと、その人間のその先を見ることができる。写真は正直という。
小説や映画、古典芝居や史劇、テレビドラマなどの主題で多いのが、官僚たちの闇の力である。豊洲の移転問題も、オリンピックの会場移転問題も官僚たちが仕切っている。
“移転”という二文字には必ず利権が絡むからだ。
誰かに責任を追わせなければならない時、トカゲの尻尾は切られる。
が、その尻尾は主を変えて再生する。

この国は何から何まで東京大学法学部卒によって仕切られて来た。
戦前、戦中、戦後と官僚たちは壮大な野心と野望を持ち、またあらゆる情報を握りそれを力の源泉として支配し続けて来た。ある年立花隆氏の巨著「天皇と東大」を読んだ時、そうか、そうだったのかと思ったが、何もかもその通りなのだ。

明治維新を天皇を利用した暴力革命だと言う歴史家は多い。
その立役者の一人、薩摩の大久保利通が生んだ官僚組織は大久保が暗殺された後、長州が受け継いだ。官と軍と警察は、薩、長、土、肥が仕切ることになりそれは今でも脈々と続いている。警察組織に鹿児島出身と土佐出身が多いのはそのためだ。
戦争とは国と国による利権の奪い合いだから官僚がすべてを取り仕切る。
軍はその実行者に過ぎない。知に勝る海軍は陸軍を見下ろしていた。
彼らは天皇も権力者も意のままに動かすことができると自負している。
例え総理大臣の任期を何年延長しようとその時が来れば権力者は交替する。
官僚たちは腰を折り、膝を屈し、頭を下げながら実は政治家を見下ろしている。
まして東大法学部卒でなければ相手と思っていない。
自分たちに不利益と思えば情報をリークして政治生命を奪う。

天皇が生前退位をビデオメッセージで国民に訴えた。
再び戦争のために利用されたくないという、天皇家のメッセージでもあった。
今、この国では憲法九条改正反対の天皇家と、アメリカの代理人、利権の代理人である官僚が戦っている。殆どの権力者はその代弁者に過ぎない。
初代総理大臣、長州出身の伊藤博文からその歴史は続いている。

昨夜夕食をゆっくり家で食べた。ブリと大根煮、肉野菜炒め、肉じゃが、油揚げとトーフの味噌汁、知人が送ってくれた大好物の奈良漬けであった。料理を作っていた愚妻がひと言言葉を発した、“おそばいる?魚焼く?”“いらない”会話はこれで終わり。

シャーロット・ランプリング主演の映画「さざなみ」を午前二時~三時四十分まで観た。年をとった名女優は文学的だ。名作「愛の嵐」を思い出した。