ページ

2017年2月17日金曜日

「流し」


大作曲家船村徹さんが亡くなった。

栃木県出身の船村さんは学生時代クラシックを目指していた。
その頃一人の天才と出会う。作詞家となる高野公男である。
オイ、船村、人間を唄え人間をと言われる、宮城出身の高野公男とやがて名曲、「別れの一本杉」を生む。
船村さんはクラッシックをやめて、流しの歌い手となる。天才は早く死ぬの決まり通り、高野公男は二十六歳でこの世を去る。
流しをしながら天才となって行った船村徹さんは八十四歳でこの世を去った。

流し出身といえば北島三郎と渥美二郎が有名だ。
新聞のファイルにこんな記事があった。二月十三日朝日新聞夕刊。
平成の「流し」新世代じわり。という見出し。今ギター一本で酒場を彩る「流し」をする若手が増えている。

主に恵比寿横丁を流すのは芸名「パリなかやま(40)」さん。酔客から次々とリクエストがある。
年間約250日街へ出る。演歌からアニメまでレパートリーは約2000曲、な、なんと2000曲。3曲で1000円位。かつては1曲500円だったとか。街は不況なのだ。リクエストが一番多いのは中島みゆきの「糸」であるとか。
記事はより詳細であった。最近、「平成流し組合」を結成。現在男女8人が所属している。有楽町、吉祥寺、遠く大阪からも声がかかるという。

私は若かりし頃、流しの男にリクエストをした。小林旭の「さすらい」をよく唄ってもらった。
♪~夜が又来る 思い出連れて 俺を泣かせに 足音もなく 何をいまさら つらくはないが 旅の灯りが 遠く遠く うるむよぉ~。

船村徹さんの後を継ぐ天才が出て来るかも知れない。
人間を唄えるのは、人間でしかない。AI人工知能に演歌は唄えない。
夜の街に出て流しに会いたいと思っている。
船村徹さんに合掌。(文中敬称略)

0 件のコメント: